2019-07-31から1日間の記事一覧

山陰沖の歌の語り(8)

第1章、歌語りの発生 第8節、豊穣の歌語り(1ー8) 歌垣の伝統を残す歓喜の豊饒歌が、隠岐の古記録『伊未自(いみじ)由来記』に載る。木葉唄(このはうた)という。その歌詞は伝承の間に意味不明となっているが、翁(おきな)と媼(おうな)の、男女二…

山陰沖の歌の語り(7)

第1章、歌語りの発生 第7節、愛の歌語り(1ー7) 愛の物語は、昔も今も、男も女も、とても好きである。聴衆は物語の中に入り込み、男の台詞を、また女の台詞を、情緒を込めて歌い語る。 いとこやの 妹(いも)の命(みこと) 群鳥(むらとり)の 我が群…

山陰沖の歌の語り(6)

第1章、歌語りの発生 第6節、歌垣の歌語り(1ー6) 歌は天地の開けしより在ると『古今集』の仮名序は記す。出雲の地で英雄スサノオが歌った三十一文字こそ人の世の始めの歌と、紀貫之は言う。 八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を (…

山陰沖の歌の語り(5)

第1章、歌語りの発生 第5節、鄙(ひな)の歌語り(1ー5) 出雲の海の民は、その「北の大海」を縦横無尽に駆け抜け、各地、各港を、渡り継いだ。そこは、出雲からすれば鄙(ひな)の地、天離る(海離る)鄙の地であった。 天離(あまざか)る 鄙(ひな)…

山陰沖の歌の語り(4)

第1章、歌語りの発生 第4節、交流の歌語り(1ー4) 八千矛神が座す古代出雲は、水陸の要地であった。神門の水海、宍道湖、中海と、出雲を東西に貫く内海により、ここでは安全な水上交通路が開け、栄えていた。 出雲の内海、その西端には三瓶山が聳え、東…

山陰沖の歌の語り(3)

第1章、歌語りの発生 第3節、歌の伝播(1ー3) 西日本海の沿岸地域、その弥生遺跡から、数多くの土笛(陶塤)の出土を見る。山口県下関市の綾羅木遺跡や新張遺跡、山口県豊浦郡菊川町の下七見遺跡、島根県松江市の西川津遺跡やタテチョウ遺跡、鳥取県米…

山陰沖の歌の語り(2)

第1章、歌語りの発生 第2節、楽器の誕生(1ー2) 胎児にとって、胎盤を通して聞く母親の規則正しい心音は、音律を伴い、それだけで心の平穏を呼び起こす。これが原初の記憶となり、生後も、この平穏の音を、心中に深く繰り返す。だから赤子が繰り出す発…

山陰沖の歌の語り(1)

第1章、歌語りの発生 第1節、原初の歌(1ー1) 歌はどこからやってきたのか。赤子が発声を繰り返す中、原初の歌は、その喉の奥から始まっている。韻律を、すでに踏む歌である。 アー、アー、アー ウー、ウー、ウー バブ、バブ、バブ 韻を踏む発声を歌と…