2019-08-10から1日間の記事一覧

山陰沖の歌の語り(14)

第2章、水辺の歌語り 第6節、恋愛歌から悲恋歌へ(2ー6) 人麻呂は恋する人との別離の歌も歌う。石見国の官人となり、この国に赴任した彼は、美しい娘子と出会い、恋に落ちた。だが官に仕える身である。任を終え、いざ帰京となれば、こよなく愛した石見…

山陰沖の歌の語り(11)

第2章、水辺の歌語り 第3節、海の若子の物語(2ー3) 海原を流れ来る娘子の物語に対し、海原を越え行く若者の冒険物語も、また歌に語られる。『古事記』には、火遠理(ホヲリ)またの名を穂々手見(ホホデミ)という若者の、海神宮への訪問譚が載る。勇…

山陰沖の歌の語り(10)

第2章、水辺の歌語り 第2節、海の娘子の物語(2ー2) 星の物語、その七夕歌が歌われたように、月の物語、その天女(月娘)の物語も、また歌によって語られる。中国神話では、月宮殿に住む常蛾(じょうが)であるが、日本では羽衣を持つ仙女として、天娘…

山陰沖の歌の語り(9)

第2章、水辺の歌語り 第1節、歌語りの固定(2ー1) 古い昔、この国に文字はなかった。歌の語りは、ただ歌うだけ、ただ語るだけであった。だから歌は口づてにだけ伝わる。それは互いの記憶の中に留め置かれ、折りに触れては、呼び起こされた。その記憶に…