山陰沖の歌の語り(64)

第7章、歌の分化
 第10節、隠岐の皆一踊り

 隠岐の「皆一踊り」は、若狭の「豊年踊り」と同じく「皆一様にお並び」と歌い始める。円く輪になって並び、踊太鼓(鼕)に拍子を合わせる。扇子を持って、皆一様にと踊り始める。
      イヨー 
      皆一様に お並びなされ 皆一様に お並びなされ
      踊り手振りを お目に掛けよう 踊り手振りを お目に掛けよう
      若狭に上れば 津山が見える 若狭に上れば 津山が見える
      三国一の梶を取る 三国一の梶を取る
      イヨー 三国一の梶を取る 梶を取る
      梶を取るとも 乗せ遣(や)るまいぞ
      大事な人の 小娘を 大事な人の 小娘を
      さよう心得 梶を取る
      大事な人の 小娘なれど 大事な人の 小娘なれど
      忍婦(しのぶ)になれば 面白や
      イヨー 面白や
      荘司の国の 御楽園の寺は 荘司の国の 御楽園の寺は
      東向きの寺なれど 東向きの寺なれど
      イヨー 福の参るは 数知れず 福の参るは 数知れず
                       皆一踊り(隠岐国 知夫里)


 これは賑わう市の踊りで、やはり商いの踊りである。知夫里の港、その港湾の神「一宮神社」の境内において、この歌と踊りは奉納された。