山陰沖の歌の語り(65)

第7章、歌の分化
 第11節、隠岐舟歌

      さらさらと 宇龍(うりゅう)岬を乗り越えて
      鷺の明神 ありがたや
      かま鼻嵐を 帆に受けて
      加賀の潜戸(くけど)や 稲荷さま
      雨も降らぬに 笠の浦
      曇りもせぬに 雲津(くもつ)浦
      関の明神 伏し拝み
      遙か東を 眺むれば
      大山(だいせん)お山に 雲巻いて
      春の景色や ありがたい
      こうして ひと梶 賀露(かろ)の浜に
      居組(いぐみ)綱掛け ありがたい
      酒や肴は 諸磯(もろいそ)よ
      津山の巌(いわお)を 帆に受けて
      経ヶ岬を 乗り越えて
      若狭小浜(おばま)に 乗り納め
      めでたいな 五葉(ごよう)の松
      枝も栄ゆる 葉も繁る
                   隠岐舟歌隠岐国 知夫里)

 海の交流は、福を招くと、港湾の市の広庭で、歓喜の歌舞祭宴が繰り広げられていた。その折に歌われていた歌の一つである。